[定期借家]自分で契約書を作って家を貸す
先日契約書を私が作って、父の自宅を知り合いに定期借家契約で貸しました。
これがまた途中で色々な問題が起きて、貸すまでに1カ月以上かかってしまいました。現在空き家問題なんかが騒がれており、空いた実家を賃貸したい人もいるでしょうから、何か参考になるかもしれないので事の顛末をまとめてみました。
「父の自宅」とは
そもそもおかしいですよね「父の自宅」っていう表現。「父の実家」でもなく、「私の実家」でもない。その辺から説明しないといけませんね。
もう10年くらい前になりますけど、両親が離婚して父の側が家から出ていきました。(一般的には母側が出て行くようですね、私らの場合は珍しいパターンみたいです)
理由は酒です。当時はあまり意識しておりませんでしたが、アルコール依存症になっていたんでしょうね。かなり暴れてましたもん。離婚までの2~3年間は家庭内別居という訳の分からない状態に陥っておりました。
出て行ってからは本当に家に平穏が訪れましたね。今までが凄いストレスでしたもの。
家を出てからしばらく父はアパートを借りて住んでいたようですが、今から6~7年前に昭和55年に建築された中古住宅を土地付きで購入しました。価格は土地も込みで600万円代だったと聞いています。
仕事はきっちりやっていたのである程度お金は溜まっていたようです。(住宅購入から1年後、依存症により退職したようです)
それが今回の「父の自宅」ということになるのです。
父の自宅、空き家になる
父が出ていってから昨年までの8年間ほどで、父に会ったのは10回もないと思います。それでも私の妹はたまに会いに行っており、その時の様子を聞くことはありました。
それが昨年妹が父を食事に誘って自宅を訪ねたところ、フラフラの状態で家から出てきて、車に乗ろうとしてトランクを開ける始末。話をしても訳の分からないことを話しており、「アルコール依存症ここに極まれり」状態ということを聞かされ、急遽精神科へ連れていくことになりました。当時は正直、父にはもう関わりたくなかったですね。それでも妹が言うので仕方なく連れて行きました。
連れていくのは本当に大変でした。話しをしても通じないし、ろくに歩くこともできない、おまけになぜか下半身半裸でしたw 遮光カーテンで真っ暗になった部屋に転がってました。あのまま夏になっていたら死んでたかもしれませんね。
やっとこさ連れて行ってすぐに入院となりました。
アルコール依存症を含む多くの精神疾患は「強制入院」は出来ないそうです。あくまで本人に入院の意思がないとダメなんですって。ここでも本人から「入院します」の言葉を引き出すのが大変でした。
ここで知ったのですが今回で入院は1年ぶり4回目で、それまでは父の友人達が連れてきてくれていたそうです。感謝(というか申し訳ない)です。
ここで父の自宅が空き家になりました。
当時の家の状態
- 昼間でも遮光カーテンで真っ暗
- 酒とタバコとカビの匂いが充満
- ゴミだらけ
- 壁に穴
- 雨漏りしてる
- 風呂桶の水には白いものが浮いてる
- 酒だか小便だかわからないけど、カーペットがビショビショ
- 床にはウ〇コのようなモノが…
とまあ酷い有様でした。夏を迎えるのを前にある程度掃除しておかないと、異臭騒ぎになりかねません。
知り合いのツテで片付け業者と清掃業者にだけ入ってもらい、最低限綺麗にしてもらいました。総額40万円くらい掛かったかと(後に全て父に請求)散らかしたり、汚したりするのは簡単ですけど、片付けたり、綺麗にするのって大変ですね。
その後は私が暇を見つけては残っていたものを捨てたり、売ったりしながら片付けていました。
借りたい人が現れる
前置きが長くなりましたが、少しづつ片付けているうちに家を借りたい人が現れました。父にとっては知り合い、私にとっては知り合いの知り合いに当たる人です。ちょっとお金に困っているらしく、安い賃貸を探しているとのことでした。
その話が出たときは二つ返事で承諾しました。
しかし、ネットで色々調べると知り合いこそトラブルになりやすく、しっかりと契約をした方がいいことが分かり、近所の不動産屋に依頼することになりました。これが揉め事の始まりでしたね。トラブル回避のためにトラブルになってしまったのです。
問題発生
あまり細かく書くと個人情報的なこともありますからね、簡単に書きますと、
- 借り手の方が現在借りている家の取り扱いと依頼した不動産屋が同じ
- 現在の借家に入居する時に色々設備を直してもらった
- その割にその借家はまだ3カ月しか借りていない
- それで出ていかれても…
- あの人(借り手の方)はきっとトラブル起こしますよ
- トラブル起こしてもウチは関わりませんよ
という感じで、不動産屋はできれば借り手の方と関わりたくない。というような態度でした。ただね、この問題の本質は「不動産屋のメンツ」というくだらないモノだと思うんですよね。
入居者から補修の依頼→不動産屋が大家さんに依頼→大家さんが負担する
という流れになり「大家さんに頭を下げたメンツが立たない」ってだけだと思うんです。「トラブルには関わりません」という言葉が示す通り、貸し手である私たち側を守るわけでもなく、自分たち会社側の逃げを作っているだけですもん。
こうしている間にも雨漏りや壁の穴を塞ぐリフォームを行い、もう一度清掃業者に入ってもらい、人が住める程度にまで掃除してもらいました。
自分で契約書を作る
結局、不動産屋を間に挟むのはやめて、自分で契約書を作ることになりました。今はネットで調べればいくらでも雛形がダウンロードできます。いい時代ですね。仲介手数料の節約にもなります。
契約書は国土交通省のHPからダウンロードしました。
今回は期限の定めのある「定期借家契約」を結ぶことにしました。
定期借家契約とは
簡単にいうと、期限の定めのある賃貸契約です。
通常の賃貸契約は自動的に更新されていくのですが、定期借家は期限が来たら基本的に契約終了です。まだ住みたいときには貸し手・借り手の同意の上、再度契約しなおします。
これで多少は貸し手側有利で家を貸すことが出来ます。トラブルを起こしたり、家の補修に何十万円とかかることが見込まれる際に、期限を待って契約を終わらせることが出来ます。なんせ耐震基準を満たしていない昭和55年の家ですから、壊れたところを直すのにいくら掛かるか分かったものではありませんからね。
「定期賃貸住宅標準契約書(改訂版)」というのをダウンロードして、必要なところに書き込んでいきます。書き方も国交省のHPに載ってますし助かります。2部作成し、貸し手・借り手双方で同じものを保管する形です。
この契約で一番大事なことは[定期賃貸住宅契約についての説明]です。「この契約には期限がありますよ~」ということをきちんと説明する必要があります。これをやっておかないと定期借家契約と認められないことがあるようです。過去に判例も出ています。忘れずに説明しましょう。
気になる方は「定期借家 判例」などで検索してみましょう。
当たり前ですが貸し手は所有者になります。今回の例で言えば私の父ですね。どんなに事前準備を頑張ったって私の取り分りはなりません。「実質所得者課税」ってやつです。
これをやったのが一昨日なんですよ。自分にはなんの得も無いのに本当によく動きました。これから町内会の組長さんに電話もしなくてはいけませんわ。
その後何か起きたらまたブログネタにします。ではでは。
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